「千年女優」とは何者か?


(C)2001 千年女優製作委員会

概要

千年女優
Millennium Actress
監督今敏
脚本今敏
村井さだゆき
原案今敏
製作真木太郎
出演者荘司美代子
小山茉美
折笠富美子
飯塚昭三
津田匠子
鈴置洋孝
京田尚子
山寺宏一
津嘉山正種
音楽平沢進
撮影白井久男
編集寺内聡
制作会社マッドハウス
ジェンコ
製作会社角川書店
WOWOW
クロックワークス
バンダイビジュアル
ジェンコ
配給クロックワークス
公開日本の旗 2002年9月14日
上映時間87分
製作国日本の旗 日本
言語日本語

2001年公開の日本のアニメーション映画。今敏監督の代表作のひとつであり、日本アニメ史に残る傑作として高く評価されている。

あらすじ

かつて一世を風靡した大女優・藤原千代子。30年前忽然と銀幕から姿を消し、人里離れた山荘でひっそりと暮らしていた彼女の元に、時を越えて古びた小さな鍵が届けられる。

鍵が記憶の扉を開くように、千代子は昔を語りはじめる。その物語は千代子の生きた現実の時の流れから溢れだし、“映画”という幻想の海流を通って、太古から未来まで広がってゆく。そして、閉ざされた想い出に隠された千代子の情熱が浮かび上がってきた……。


これみてポイント

走る走る走る

本作の魅力はなんといっても走り。
え?走りですよ。走る。ただそれだけで感動することがあるんです。
走りはアニメーションの基本でありながらアニメーターの力量がはっきりと現れるアクションです。大ヒット作品「時をかける少女」や「君の名は」でもクライマックスは走りでした。いずれも業界トップのアニメーターが担当しています。

「時をかける少女」はすしおさん
「君の名は」沖浦啓之さん

序盤の見せ場。雪の降り積もる中、鍵の君を追いかけ走る千代子の場面。
このシークエンスはスーパーアニメーター井上俊之さんが担当しています。



昔の同僚が千代子が雪で足を滑らせて転ぶカットの原画コピーを持ってたんですよね。専門学校時代に入手したとか・・・。コピーさせてもらえばよかった・・・。


走りは左足を前に出した原画と右足を前に出した原画を中2枚で割るのが基本パターンです。TVシリーズではよく使われます。


ただ、これって大きく間違っていないけどリアルじゃない、つまりわかりやすく記号化したような無難な走りでキャラクターの個性まで表現できないんです。
原画マンがここをコントロールしようとしたら、中割り参考を入れるか全原にしちゃいます。


※中割り参考
原画の間に中割りの参考に入れるアタリ。原画と動画は分業が普通なので原画マンが想定した中割りにならないこともあります。特に動きの軌道がズレると気持ちいい動きになりません。


※全原
全部原画なので全原。走りは単純な中割りではありません。動画マンもそれなりに描けるレベルじゃないと見るも無惨な結果になります。全原の良いところは脚の動き、それに連動する腕の振り、髪のなびき、服のなびきを全てコントロール出来ることにあります。ただし、それだけ原画マンの負担は大きくなるし、ガタツキが出る可能性もあります。


性別や年齢、性格、感情によって歩き方、走り方は変わってきます。一流のアニメーターはそれを絵で表現できるのです。
アニメーションはanimate(=命を吹き込む)から派生した言葉。生き生きとしたアニメーションは観るだけで気持ちいいんです。


平沢進の音楽



間違えていません、師匠。
今敏監督が平沢さんのファンであったため、オファーしたらしいです。本作はとにかく音楽と映像の融合が見事です。私は良い映画には良い流れがあると感じるのですが、「千年女優」は映像と音楽が淀みなくなめらかに一体となっています。


エンディングテーマのロタティオン(LOTUS-2)は輪廻(Rotation)と蓮(Lotus)を掛けたタイトルで仏教的な世界観を表現しています。平沢さんはタイが好きで、タイの民族的な音楽と電子楽器を組み合わせた音楽で唯一無二の世界観を作り出しています。


興味を持たれた方はYou Tubeでライブ映像など観てください。また、公式サイトで音源配布も行っています。https://susumuhirasawa.com/free-music/
平沢さんは著作権管理をJASRACに任せずに自ら行っているというのも特異な点です。


最後のセリフの謎


公開時の話になりますが、ラストカットの千代子のセリフが賛否両論を巻き起こしました。
人によってはこのセリフをまったく受け入れられないという人もいましたが、あなたはどのように感じるでしょうか?そして、その意味をどのように捉えるでしょうか?


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