ズートピア
あらすじ
そこは、動物たちの<楽園>…のはずだった。
故郷の田舎町から憧れのズートピアにやってきたウサギのジュディ。彼女の夢は、「立派な警察官になって世界をよりよくする」こと。
でも警察官になれるのは、サイやカバなどタフな動物だけ…けれどジュディは、現実の壁に立ち向かいながらも夢をあきらめず、見事“ウサギ初!”の警察官に!
作品概要
・キャスト
ジニファー・グッドウィン (ジュディ・ホップス), ジェイソン・ベイトマン (ニック・ワイルド), イドリス・エルバ (ボゴ署長), ジェニー・スレイト (ベルウェザー), ネイト・トレンス (クロウハウザー), J・K・シモンズ (ライオンハート市長), シャキーラ (ガゼル), レイモンド・S・パーシ (フラッシュ)
・監督
バイロン・ハワード, リッチ・ムーア
・共同監督
ジャレド・ブッシュ
・製作
クラーク・スペンサー
・製作総指揮
ジョン・ラセター
・ストーリー
バイロン・ハワード, ジャレド・ブッシュ, リッチ・ムーア, ジョシー・トリニダード, ジム・リアドン, フィル・ジョンストン, ジェニファー・リー
・脚本ジャレド・ブッシュ, フィル・ジョンストン
・編集
ファビアンヌ・ローリー, ジェレミー・ミルトン
・音楽
マイケル・ジアッチーノ
・アソシエイト・プロデューサー
ブラッドフォード・S・シモンセン, モニカ・ラーゴ=ケイティス
・ビジュアル・エフェクト・スーパーバイザー
スコット・カーサヴェイジ
・プロダクション・デザイン
デヴィッド・ゲッツ
・吹替キャスト
上戸彩 (ジュディ・ホップス), 森川智之 (ニック・ワイルド), 三宅健太 (ボゴ署長), 竹内順子 (ベルウェザー), 高橋茂雄(サバンナ) (クロウハウザー), 玄田哲章 (ライオンハート市長), Dream Ami (ガゼル), 村治学 (フラッシュ), 芋洗坂係長 (マイケル・狸山(日本版オリジナルキャラクター))
・日本版エンドソング
トライ・エヴリシング/Dream Ami
これみてポイント
ミステリー
本作においてストーリーの牽引役となるのがズートピアで発生している未解決の失踪事件。
単純にお話として面白いので、まずは深いことを考えずに観ることをおすすめします。
キャラクターの魅力
登場するキャラクターはみんな個性的です。動物の擬人化はさすが天下のディズニー。バランスが見事。
多分、日本だったらもっとアニメチックにするか、人間に耳やしっぽを生やしたようなデザインにすると思います。その方がごまかしが効くからです。
ディズニーは動物らしさを残したまま、人間的な表情付けをするためのデフォルメを行いました。これは世界中のあらゆる人に向けて作っているからこそのデザインです。
また、各キャラクターには表の顔と裏の顔があり、それが深みをもたらします。
ジュディは清廉潔白のように見えますが、随所に他の動物に対する無意識の偏見を持っている様子が伺えます。例えば、初めてZPDに出勤したとき、受付のクロウハウザーに「可愛い」と言われたとき、ジュディは「うさぎがうさぎに対して可愛いと言うのはいいけど、他の動物が言うのはちょっと・・・」と返します。これは黒人コミュニティーでお互いを侮蔑的な呼び方をするのと似たようなことです。また、物語の中盤ジュディは無自覚な発言で大きなミスをおかします。
ニックはいわゆる”キツネらしい”皮肉屋で、詐欺師まがいの行為をして生きています。しかし、その奥には優しい心が隠されています。ニックの過去のトラウマのシーンはBlack Lives Matterデモのきっかけとなった事件を想起させます。
ナマケモノのフラッシュはコメディ担当で、登場シーンは少ないですが、きちんと表の顔と裏の顔が見られます。エンディングまでしっかり観てください。
様々な差別問題
表裏があるのはキャラクターだけではありません。
近年のアニメーション作品はただ子供に向けて作っているだけではなく、一緒に観る大人に向けてもメッセージが込められています。
ニックがベルウェザー副市長の髪を彼女の同意なく触るシーンがあります。これは、黒人の人にはあるあるで「髪の毛触らせて」と言われることにウンザリしているそうです。
ボゴ所長は屈強な男性の警官しか捜査にあたらせません。ジュディがどれだけ努力して成果を出してもです。なぜならジュディは女性であり、うさぎだから。マチズムってやつですね。
こいつ嫌な奴と思いながら、観ている自分自信はどうかと自問させられます。そういったシーンが随所に、しかし押し付けがましくなく自然にストーリーに盛り込まれています。あまりにも自然なので、初めて観る人はメッセージをスルーしてしまうと思います。しかし、何度も観て新しい発見をしていくのも映画の醍醐味です。
きっとこの映画を観た子供は成長と共に、作品からのメッセージを再発見していくことでしょう。
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