今回紹介するのは「フレンチアルプスで起きたこと」
本作は、2014年にスウェーデン・デンマーク・フランス・ノルウェーの合作で制作されたコメディ。コメディジャンルだけど、かなりブラック・・・。
監督・脚本はリューベン・オストルンド。2014年・第67回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で審査員賞を受賞するなど、各国の映画祭や映画賞で高い評価を得た。
「フレンチアルプスで起きたこと」はAmazonプライムビデオで見放題配信中。
あらすじ
スマートなビジネスマンのトマス、美しい妻のエバ、そして娘のヴェラと息子のハリーは、一家そろってフレンチアルプスにスキー旅行にやってくる。しかし、朝食をとっていた最中、目の前で雪崩が発生。幸い大事には至らなかったが、その時に取ったトマスの行動が彼のまとっていた「理想的な家族の父親像」を崩壊させ、妻や子どもたちから反発や不信を買って家族はバラバラになってしまう。
これみてポイント
人間の本性をあぶり出す衝撃的なシーン
楽しいスキーリゾートの2日目の朝、テラスで朝食を取っている一家に向かって雪崩が向かってくる。父親は「人為的に発生させた雪崩だ。プロがやっているんだから大丈夫。」と言い、のんきにスマホで撮影をしている。しかし、雪崩の勢いは収まらず、目の前まで突っ込んできた。
あたりは白煙に包まれ、父親を呼ぶ子供の声が響きわたる。白煙が収まり全員の無事を確認しようとしたら、父親だけがいない。
あろうことか、父親は妻子を置いて自分のスマホと手袋だけを持ってひとり逃げてしまったのだ。
本作はこの出来事をきっかけに、家族の絆や信頼が崩壊していく様子を描く。そして、人間が追い詰められた時にどんな行動を取るのか、その行動が周囲の人々にどんな影響を与えるのか、という問いを投げかける。
ブラックユーモアに満ちた会話や演出
本作は深刻なテーマにもかかわらず、ブラックユーモアに満ちた会話や演出が随所に見られる。例えば、雪崩の後に、父親が自分の行動を正当化しようとする場面や、友人たちとの夕食の場面などは、笑いというよりは苦笑いしてしまう独特の空気感がある。
また、ホテルの清掃員やバスの運転手などの脇役も、コミカルな要素を加えている。
とはいえ、笑える人がどれだけいるのか?
英雄的な人間とそう思い込んでる人かな。
美しいフレンチアルプスの風景
本作は、美しいフレンチアルプスの風景をバックに展開される。雪に覆われた山々や森、青空や夕日など、自然の美しさが映像に映える。
しかし、その美しさとは裏腹に、人間の心は冷たく孤独になっていくという対比が、この映画の印象をより強くする。
カメラはFIXで撮影されているのが大半で、より客観的に物語を捉えている。また、会話シーンでは背景に直線的なモチーフを多く配置していて、画面に固い印象を与える。それが自然とのコントラストをより一層くっきりと表現している。
作品概要
フレンチアルプスで起きたこと | |
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Turist | |
監督 | リューベン・オストルンド |
脚本 | リューベン・オストルンド |
製作 | エリク・ヘンメンドルフ マリー・シェルソン フィリップ・ボベール |
製作総指揮 | ジェシカ・アスク |
出演者 | ヨハネス・バー・クンケ リーサ・ローヴェン・コングスリ |
音楽 | オラ・フロットゥム |
撮影 | フレドリック・ウェンツェル |
編集 | ジャコブ・セチェール・シュルシンガー リューベン・オストルンド |
製作会社 | Plattform Produktion |
配給 | ![]() ![]() |
公開 | ![]() ![]() |
上映時間 | 118分 |
製作国 | ![]() ![]() ![]() ![]() |
言語 | スウェーデン語 英語 フランス語 ノルウェー語 |
興行収入 | ![]() |
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