今回紹介するのは「ヴァチカンのエクソシスト」。
劇場公開時にSNSでかなりバズっていました。恐怖と神秘の世界について少し触れてみましょう。
「ヴァチカンのエクソシスト」はAmazonプライムビデオで見放題配信中。
あらすじ
ヴァチカンのチーフ・エクソシストを務めるアモルト神父は、ローマ教皇の依頼で少年の悪魔祓いを行うため、スペインのサン・セバスチャン修道院を訪れる。変わり果てた姿の少年と対峙した彼は、それが悪魔の仕業であることを確信。教区を受け持つ若きトマース神父と共に本格的な調査に乗りだしたアモルト神父は、修道院に隠された恐ろしい秘密を暴き出す。
これみてポイント
実在のエクソシストの回顧録を元にしている
「ヴァチカンのエクソシスト」は、生涯で数万回の悪魔祓いに携わった神父の壮絶な戦いを記録した回顧録「エクソシストは語る」にインスパイアされた作品です。
「エクソシストは語る」は、ローマ法王庁公認のエクソシスト、ガブリエル・アモース(ガブリエーレ・アモルト)神父の経験と知見をまとめた本で、国際エクソシスト協会の創立者でもあるアモルト神父が、1994年から2001年まで会長を務めた経験を基に、悪魔祓いの実際や悪魔の存在について語っている。
アモルト神父が悪魔祓いの現場で直面した様々なケースや、悪魔の存在についての考察を展開している。また、カトリック教会の公認エクソシストとしての立場から、悪魔との戦いにおける信仰の重要性を主張している。
アモルト神父は正真正銘ヴァチカンの、つまりはローマ法王直属のエクソシストというわけです。
悪魔か精神疾患か
物語冒頭、アモルト神父は悪魔憑きの男性の悪魔祓いをする。
しかし、教会の許可を得ずに悪魔祓いをしたことが問題視され、帰還後に呼び出しを受けてしまう。アモルトは悪魔祓いに懐疑的な枢機卿から糾弾されるが、アモルトは「精神を病んだ村人に対して心理療法を行っただけ」と反論する。
実際、彼が行った悪魔祓いはこうだ。悪魔に憑かれた男性に「お前が悪魔ならこの豚に取りついてみろ」と挑発して、男性から悪魔が抜けた後に豚を殺して悪魔を退治した。
まるで「三枚のお札」のようなお話。
アモルト神父は、彼は悪魔憑きではなく精神疾患だと見抜き、悪魔祓いのふりをして精神的な治療を行ったということ。
現代の悪魔祓いのガイドラインには悪魔に憑依された可能性のある人は、他の行為が行われる前に医療専門家によって診断されなければならないという規則が含まれています。
ローマ・カトリックの教えによれば、憑依は極めてまれであり、精神的健康問題はしばしば悪魔憑きと間違われるため、バチカンは各教区に悪魔憑きを診断し、必要に応じて悪魔祓いを行える特別な訓練を受けた司祭を置くことを義務付けています。
そもそも悪魔祓いって何なのよ
悪魔祓いは司祭によって与えられる祝福の一部とされます。
祝福の方法も、祈り、十字架の印、聖水、塗油など様々ですが最も原初的な祝福は言葉通り「相手に対して良いことを言う」ことです。
言葉には魔術的な力があり、特定の言葉には神秘的な力があると考えられてきました。祝福と呪いは、こうした考えから生じたものです。
なんだか日本の文化にも共通したものを感じますね。
アモルト神父たちは悪魔に憑かれた少年を祝福することで悪魔を祓おうとします。一方の悪魔は呪いの言葉を吐いて相手の心を揺さぶり憑りつこうとします。
悪魔祓いに関する最初の公式ガイドライン、”Exorcisms and Related Supplications”(悪魔祓いとそれに関連する祈願)は1614 年に確立されましたが、20世紀になる頃には北米において、悪魔祓いの儀式はほとんど行われなくなってきました。
しかし、1970年代から一気に悪魔祓いの需要が増加しました。「エクソシスト」(1973年)公開の影響が大きいでしょう。
すると、需要の増加に乗じて公的認可を受けずに悪魔祓いを行う司祭たちが現れました。
カトリック教会はこれらを異端の司祭によるアンダーグラウンドな行為として問題視し、1999年に悪魔祓いのガイドラインを改訂するにいたりました。
実は21世紀に入ってからも悪魔祓いの需要は増加しており、エクソシストも数を増やしているそうです。
エクソシストたちの一部は薬物中毒や暴力の増加は悪魔によるものと考えています。そうやって人間の心に憑りつき社会を乱そうというわけですね。
科学の発展とともに、オカルト現象はフィクションの世界のものとなってきています。しかし、カトリック教会は、悪魔は実在しており虎視眈々と人間を貶めようと画策しているというスタンスを取っています。
死霊館シリーズの人気もあって、エクソシズムというジャンルが再び脚光を浴びています。
あなたもご覧になってはいかがでしょうか?
かなりエンタメ寄りでそんなに怖くないですよ👿👻💀
作品概要
ヴァチカンのエクソシスト | |
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The Pope's Exorcist | |
監督 | ジュリアス・エイヴァリー |
脚本 | マイケル・ペトローニ エヴァン・スピリオトポウロス |
原案 | マイケル・ペトローニ R・ディーン・マクレアリー チェスター・ヘイスティングス |
原作 | ガブリエーレ・アモルト 『エクソシストは語る』 |
製作 | ダグ・ベルグラッド マイケル・パトリック・カチュマレク ジェフ・カッツ |
製作総指揮 | ジョー・ホームウッド ソフィー・キャシディ エドワード・J・シーバート |
出演者 | ラッセル・クロウ ダニエル・ゾヴァット アレックス・エッソー フランコ・ネロ |
音楽 | ジェド・カーゼル |
撮影 | カリッド・モタセブ |
編集 | マット・エヴァンス |
製作会社 | スクリーン ジェムズ 2.0 Entertainment Loyola Productions |
配給 | ![]() ![]() |
公開 | ![]() ![]() |
上映時間 | 103分[3] |
製作国 | ![]() |
言語 | 英語 |
製作費 | $18,000,000[4] |
興行収入 | ![]() ![]() ![]() |
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